パン作りでは、水分量の調整が仕上がりを大きく左右します。
生地がべたつく、かたくなるといった悩みは水分量が原因の場合があります。
特に、加水率の考え方を理解していないと失敗しやすくなります。
本記事では、パン作りに欠かせない水分量と加水率の考え方について解説します。
目次
パンの水分量「加水率」とは
加水率とは、粉の量に対する水分の割合を示す数値で、一般的には水分量を粉量で割り、百分率で表します。
この数値が、パン生地のやわらかさや扱いやすさに影響します。
加水率において水分として考えるのは水だけではなく、牛乳や卵などに含まれる水分も含めます。
そのため、材料全体での水分量を把握する視点が必要です。
加水率が高いと生地はやわらかくなり、扱いにくさが増す場合もあります。
これらを理解することで、目標とする生地や食感に近づけやすくなります。
小麦粉の吸水率
パンの加水率を考えるうえで欠かせないのが、小麦粉の「吸水率」です。
吸水率とは、小麦粉がどれくらい水分を吸収できるかを示す性質のことを指します。
小麦粉は種類や製粉方法、たんぱく質量によって吸水率が異なります。
一般的に、強力粉は吸水率が高く、薄力粉は低い傾向があります。
また、全粒粉やライ麦粉などは粒子が粗く、水分を多く必要とするため、同じ加水率でも生地の状態が変わりやすくなります。
この吸水率の違いを考慮せずに加水すると、「レシピ通りなのに生地がベタつく」「思ったより固く仕上がる」といった失敗につながることがあります。
そのため、加水率は数値だけで判断せず、使用する小麦粉の特性を理解したうえで、生地の状態を見ながら調整することが重要です。
吸水率を意識することで、より安定したパン作りがしやすくなります。
パンの種類別に見る水分量の目安

水分量は、小麦粉の種類やどのようなパンを作るかにより異なります。
生地の扱いやすさや仕上がりの食感に影響する要素であり、目安を知ることで加水率調整の判断がしやすくなります。
こちらでは、加水率の違いで見るパンの種類(一例)をご紹介します。
低加水のパンの目安
低加水のパンの代表として、ベーグルがあります。
ベーグルは水分が少ないので生地は固くなりしっかりとこね上げる必要があります。
生地が締まって成形しやすく、噛み応えのある食感に仕上がります。
高加水の特徴と注意点
高加水のパンの代表としてフランスのバゲットやイタリアのチャバタというパンがあります。
気泡が多くしっとりとした食感になりますがべとつきやすい生地になり、扱いが難しくなる傾向にあります。
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パンの加水率を計算する方法
加水率は、以下の計算式で求めることができます。
加水率(%)=水分量 ÷ 粉量 × 100
ここでいう水分量には、水だけでなく、牛乳・卵・バターなどに含まれる水分も含めて計算する点がポイントとなります。
たとえば、
・小麦粉:500g
・水:300g
この場合、300 ÷ 500 × 100 = 加水率60% となります。
もし牛乳や卵を使用する場合は、それぞれに含まれる水分量を考慮します。
すべてを厳密に計算するのが難しい場合でも、「水分が含まれる材料が増えるほど、加水率は高くなる」という意識を持つだけでも、生地調整の精度は向上します。
水分量で変わるパン作り
パン作りにおいて水分量は、生地の扱いやすさだけでなく、発酵の進み方や焼き上がりの食感、風味にも大きく影響します。
加水率の違いによって、適した製法や注意点が異なるため、ここでは水分量が多い場合と少ない場合、それぞれの特徴をご紹介します。
水分量が多いパンの特徴
水分量が多い生地は、発酵が進みやすく、気泡ができやすいという特徴があります。
そのため、焼き上がりは、しっとりとした食感になりやすくなります。
一方で、生地がやわらかくなるため、べとつきやすく成形が難しくなる傾向があります。
長時間発酵を行う場合は、イースト量を控えめにし、ゆっくり発酵させることで、粉本来の風味を引き出しやすくなります。
作業に慣れていない場合は、加水率をやや控えめに設定し、生地の状態を見ながら少しずつ水分を調整することがポイントです。
水分量が少ないパンの特徴
水分量が少ない生地はべとつきが少なく扱いやすいため、成形が安定しやすくなります。
焼き上がりは、締まった食感になり、噛み応えを重視するパンに向いています。
また、水分量が少ない場合は発酵が進みにくく、ボリューム不足につながることがあります。
こねる工程においては負荷がかかりやすくなることから、作業環境に応じた調整が必要です。
そのような場合はパンこね機を用いることで、作業負担を軽減できます。
理想の加水率で再現率を高めるには
水分量に関わらず、パン作りには正確な計量が欠かせません。
細かく計量する際はデジタルスケールがおすすめです。
材料ごとの水分を意識することで、再現性を高められるでしょう。
おわりに
本記事では、パン作りにおける水分量と加水率の考え方について解説しました。
加水率を理解することで、生地の扱いやすさや食感の調整がしやすくなります。
パンの種類や目的に応じて水分量を見直すことが、失敗防止につながります。
また、こねる工程や発酵管理を工夫することで、作業負担の軽減も可能です。
自分に合った加水率を見つけ、楽しく無理のないパン作りを続けましょう。